♪♪♪♪♪♪
◆「ヴィオラってどんな楽器ですか?」と訊けば、ほぼ全員が「ヴァイオリンを一回り大きくした楽器」と答えると思います。実際にヴァイオリンの4本の弦が低い方から五度間隔でG(ソ)-D(レ)-A(ラ)-E(ミ)となっているのに比べ、ヴィオラは同じ五度間隔C(ド)-G(ソ)-D(レ)-A(ラ)と、ヴァイオリンよりも5度音域が低く、その分楽器も大きく、ヴァイオリンよりも倍音が多くふくよかで深みのある音色となっています。
実は、ヴァイオリンの5度下の音域を物理的に理想的な響きで鳴らすには、ヴァイオリンの1.5倍の大きさが必要なのです。しかし実際にはそんな大きな楽器を顎にはさんで演奏するのは大変なので、やや小型で妥協(!)して演奏可能な大きさに収めているのが現在のヴィオラのサイズとなっていることはあまり知られていません。
◆”ヴィオラ”という名前は、もともと擦弦楽器(弓などで擦って発音する弦楽器)の総称でそれにはヴァイオリンも含まれる広い意味の名称でした。
現在はヴァイオリン属でヴァイオリンのの一回り大きい弦楽器という認識で正しいのですが、もともと中音域の弦楽器という意味でのヴィオラの先祖といえるヴィオール属の楽器は、16世紀半ばに生まれたヴァイオリンよりもはるかに前の14世紀頃から存在していました。
膝にはさんで演奏して”足のヴィオラ”という意味の”ヴィオラ・ダ・ガンバ”が有名です。一方でヴァイオリン属の顎にはさんで演奏する楽器は”腕のヴィオラ”と意味の”ヴィオラ・ダ・ブラッチョ”と呼ばれていました。
このヴィオール属とバイオリン属は、外見は似ていますがまったく別物の楽器なのは注意しておきたいところですが、今のヴィオラがヴァイオリン属の楽器に属するので少しややこしいのです。
◆ヴィオラという名称は、英語とイタリア語で主に使われていますが、フランス語では"alt:アルト"、ドイツ語では"Bratsche:ブラッチェ"とそれぞれまったく別の名称が使われています。他の楽器では各国のスペルの違いなど言語による表記の違いでの名称の若干の違いはあれど、せいぜい2種類くらいにほぼ同じにくくることができるものが多い中、主要五言語で3種類も分かれているヴィオラは、先の成り立ちの違いや古い歴史をもつことと無関係ではないようですね。
※「様々な言語で楽器を表してみよう」参照
https://sites.google.com/site/websjpo/home/seminar/5languageinstruments
◆このように古い歴史をもつビオラですが、現在のバイオリン属のヴィオラとして確立したのはヴァイオリン以降ということもあり、バロック時代以降のソロ楽器として多くの曲が作られたヴァイオリンやチェロに比べるとソリストとしての活躍の場はそれほど多くはありませんでした。ヴィオール属の時代までさかのぼればヴァイオリンをはるかにしのぐソロ曲が作曲されているそうですが、残念ながらあまり演奏される機会は多くありません。
◆そうしたヴァイオリンやチェロに比べると、目立たない存在のビオリスト達から、必然的に(?)自分たちを自虐的に揶揄する「ヴィオラジョーク(Viola Jokes)」が生まれてきました。もちろん自虐ネタジョークは他の楽器にも存在しますが、ヴィオラのその数は群を抜いていてカテゴライズされるほどですので、いくつか紹介します。
・Q:ヴィオラがヴァイオリンより優れているのは?
A:長く燃える
・Q:短二度の音程とはどういうもの?
A:ヴィオラがユニゾンを弾くこと
・Q:玉葱とヴィオラの違いは?
A:ヴィオラは切り刻んでも誰も涙を流しません。
などなど数えきれないほどのヴィオラジョークがあるので、調べてみてください。
◆もっとも、そんなヴィオラジョークを言いながらビオリストという人々は、誰よりもヴィオラを愛する気持ちの人一倍強い人たちで、だからこそあえて自分の楽器を落として笑いを取りながら、結果的に素晴らしいヴィオラの音色や演奏から生まれるギャップでヴィオラの魅力が伝わるという、現在の芸人のような心意気の人が多いのもビオリストの特性といえるでしょう。
♪♪♪♪♪♪
◆SJPOでは、現在2名の団員が在籍していて、トレーナーの小神野りえ先生を始めとする指導陣から、楽器の演奏やオーケストラ技術はもちろんのこと、ヴァイオリンなどでは味わえないヴィオラの楽しさやこだわりどころなども含めて教えてもらいながら、SJPOを響きの中核を担って頑張っています。
3歳くらいから始める人が多いヴァイオリンやチェロに比べると、比較的大きくなってから始める人が多く後からでも始めやすい楽器とも言えるヴィオラです。今まで楽器をやってきていなかったけど、オーケストラの弦楽器として演奏してみたい!という方々もぜひ私たちと一緒にやってみましょう!
0 件のコメント:
コメントを投稿
注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。