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◆もともとホルン(Horn)とは「角」という意味で、他の金管楽器と違って最初から金属で作られたのではなく、牛や山羊の角や時には象牙などをくりぬいて吹いたのが起源とされています。
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◆ホルンの音域は楽器の中でも抜群に広く約4オクターブもあり、木管や弦とも溶けやすい柔らかな音色から金管的な明るい華やかな音色まで表現の幅が広いこともあり、古くからオーケストラに取り入れられてきました。
ちなみに音域が広いので、人によって高音が得意な人と低音が得意な人に分かれることが多く、オーケストラの中では高音を担当するパートと、低音を担当するパートと役割が他の楽器に比べて明確に分かれているため、プロのオーケストラでも上吹き(高音担当)と下吹き(低音担当)とオーディションが別に行われることが多いのです。
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◆ナチュラルホルンの頃は、バルブがなかったので半音単位で自由に音が出せずに倍音列の決まった音しか出せませんでしたので、曲ごとに抜き差し管の長さを変えて、その調性に合わせた音を担当させてきました。
従って楽譜には、inD(楽譜上のドの音がD),とかinA(楽譜上のドの音がA)とか指定され、演奏者はそれに合わせて抜き差し管を選んで付け替えて演奏していました。19世紀中ごろにバルブが発明され、自由に半音単位でホルンも演奏できるようになったのですが、楽譜はナチュラルホルンの頃のまま調性が指定されているので、inFが主体になった今では抜き差し管を替えることなしに、読み替えて演奏しなければならなくなりました。
たとえばinEsなら、記譜の音をすべて全音(2度)下げて読みますし、inAなら3度上げ、inCなら4度下げるなど頭の中で読み替えながら演奏しなければならないので、ホルン奏者は最初はかなりとまどうことになります。したがって最初のうちは読み替えが難しいので、inFに楽譜を書き換える人も少なくありません。
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◆ホルンを知らない人からみると、ベルの中につっこんでいる右手は何をしているのだろうと不思議に思う人も多いようです。ナチュラルホルンの頃は半音単位で変えたいときに、右手でベルをぎゅっとふさいで金属的な音色を出すゲシュトップ奏法や、半分ふさぐハーフミュート奏法をで、頻繁に右手を動かす必要がありましたが、現在ではどちらの奏法も音色を変えたいときに時折指定されます。
現在では右手の役割はまずは楽器を支えることですが、もう一点重要なのは音程調整で、音一つ一つにたいして、少し右手を開けて音程を上げたり、逆にふさいで音程を下げたりと、細かく音程を調整をするというかなり大変なこともしているのです。
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①ナチュラルホルン
②フレンチホルン
③ウインナホルン
④アルプホルン(アルペンホルン)
⑤アルトホルン(テナーホルン)
⑥フリューゲルホルン
⑦イングリッシュホルン
などが挙げられますが、①のナチュラルホルンから進化して、オーケストラでホルン奏者が演奏するものは、②③です。
一般的にホルンといえば、②のフレンチホルンを指します。
③のウインナホルンは主にウィーンフィルで使われているロータリーの代わりにピストンバルブを備えたものです。
④はスイスなどで演奏される主にGes管の木製の約3.4mの長い楽器で、F管のフレンチホルンを伸ばした長さ(約3.7m)とほぼ同じ長さです。
⑤と⑥は、意外にもサキソフォーンを発明したA.サックス氏が考案したサクソルン属と言われる金管楽器群から発達したもので、⑥のフリューゲルホルンはトランペット奏者が演奏します。
⑦のイングリッシュホルンは「コーラングレ」のことで、ダブルリードの木管楽器であるオーボエの仲間です。
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◆通常は金管楽器に分類されるホルンですが、木管五重奏という室内楽のジャンルでは、フルート・オーボエ・クラリネット・ファゴットにホルンを加えた編成となっています。
これは元が角笛だったこともあるのですが、管楽アンサンブルが盛んになった古典派の頃、実はトランペットは軍隊や貴族の高貴な楽器、トロンボーンは教会で用いられる崇高な楽器ということで、ホルンだけが一般人が気軽に演奏できたから、というのが実際のところだったようです。
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なんとギネスブックにはオーボエと並んで「世界一難しい楽器」として掲載されているほどで、なかなか思い通りに演奏できず、ミスもしやすい楽器でもあります。
それでもオーケストラにおいて音色も多彩で音域が広く、音量も出ることから傑出した圧倒的な表現力を持ち、金管とはもちろん、木管や弦とも音色が溶け合うというホルンの素晴らしさに魅せられる人は多いことでしょう。
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◆ある時には極上のハーモニーを響かせ、他の楽器のソロの裏ではオブリガートを歌い上げ、そしてここぞというときにおいしいソロをもっていく花形楽器のホルンを、ぜひSJPOで一緒に演奏してみませんか?